大好きだよ!
S×L 婿に捧ぐ
ポーン、100階です。
毎日毎日聞き続けて、もう聞き飽きたほど聞いた電子音。
直通のエレベータに乗り込んで、何秒で100階に着くかも覚えている。
ふう、とため息をつけば、扉が開いてばっと何かが飛び込んでくる。
「お帰りハニー!暇だったよつまんなかったよー!」
ぴいぴいぴいと餌を欲しがる鳥のようにまくしたてる彼が恋人である。
「ああそうかね、取り敢えず座らせてくれたまえ」
くっついてくねくねする彼をどうどうと押して部屋に入ると、足下が生暖かい。
どうやら、彼が私を待っていたのが床らしい。
エレべータの前の床で、三角座りをする彼の姿が目に浮かんで少し笑う。
するとその笑顔を目敏く見つけた彼がまたぴいぴい言い出す。
「かわいい!なんで笑ってるの!?すごいかわいい!食べちゃいたい!」
「喧しい。静かにしたまえ」
ちゅ、と額にキスを落とせば黙ってくれると思っていたら、
「わああもうローったら酷いよ!なんで俺がお返し出来ない位置に頭があんの!?」
逆にぶーぶー言われて閉口する。
すとんと椅子に座ったら今度は嬉しそうに声があがる。
「ありがとうハニー!だいすき!」
ねっとりと口にお返しだ。
「ん、んん、っ」
息が出来なくなりそうな所でやっと解放される。
「き、みは、そうやっていきなり破廉恥な行動に移るのはどうにかしてくれないのかね!?」
「だってこれからお食事でしょ?俺が一生懸命作った奴食べるでしょ?そしたらしばらくキスできないからお帰りのキス!」
にこっと花のような笑みを浮かべられると弱い。
「…今日の夕飯は?」
「パスタだよ!カルボナーラ!」
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