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2009.05.06 Wed 「 えい遠一つの話
ずっと、貴方といっしょ。
C×M 相棒に捧ぐ






「貴方と暮らして、何年経ちます?」

「そうでござぁますね、ざっと60年と言った所でござぁましょうか」


貴方は老いていってしまうのに、私は変わらぬままだった。


「私ばかりが老いてしまってごめんなさいね、醜いでしょう」

「貴方はどれだけ経っても変わらず美しゅうござぁますよ」

「私は迷惑をかけるばかりでしょう?無理をして旅に付き合って下さらなくとも」

「アタクシは貴方の為にここに在るのが何よりの幸せでござぁます」


苦しかった。辛かった。私も共に老いられればと思った。

けれど、出来ていたことが出来なくなっていく貴方の方が辛いだろうと、

それを思えば、貴方が笑っているのに、私が泣く訳にはいかなかった。


「聞いて下さいハムレット、ギターが弾けなくなってしまいました」


貴方が泣いた。

笑っているフリをしていたけれど、泣いていたことくらい分かった。

抱きしめていないと胸が苦しくて、穴が空いてしまいそうで、

きつく抱きしめて囁いた。


「貴方には歌がござぁますよ、ヴィットリオ」


それに隣に私もおります、と付け足そうかとも思った。

けれど、何だか図々しい気が、おこがましい気がしてやめた。


「聞いて下さいハムレット、旅が出来なくなりました」


貴方が泣いた。

前より笑ったフリが下手になっていた。

あまりきつく抱きしめてはいけないと分かっていたけれど、

そうでもしないと私が壊れてしまいそうで、

きつく、けれども前より弱く、抱きしめて囁いた。


「貴方には歌がござぁますよ、ヴィットリオ」


隣には私がおりますし、と足そうかと思った。

けれど、やっぱり図々しい気がして、おこがましくて、やめた。


「聞いて下さいハムレット、歌えなくなってしまいました」


貴方はもう泣かなかった。

代わりに、優しく微笑んだ。

最期の手前だと分かっていたから。

代わりに、私が泣いた。

泣いて、今までで一番強く抱きしめて、囁いた。


「貴方の隣にはアタクシがおりますよ。それも、ずっと、永遠に」


やっと、言えた。

貴方の為に隣に在れた今なら、

貴方の隣に居続ける為に消える今なら、

言っても良いんじゃないかと思えた。


貴方は笑って、頷いた。
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