大事な大事な、貴方の日。
Z×C 嫁様に捧ぐ!
仕事が終わった。
ドアを開けて、部屋に入って、大欠伸したら、
恋人が目に入った。
「あれ…カール?」
名前を呼ばれると大柄な体をびくっと縮こませて、ぱっと振り向く。
その大きさや、筋肉質な体に似合わない、おどおどとした態度。
カールじゃなきゃイラっと来るかもしれないけど、
カールだから、可愛いだけだ。
「ああああの、おおお、お邪魔してます、刃さんっ」
真っ赤になっておどおどと言う。
勝手に入ってたことを凄く悪いと思ってるらしく、どもり癖が出てる。
「…どした?書類?」
椅子に座って尋ねると、立ったままの恋人はまたおどおどと答える。
「いいいえ、そそその、し、しし、私用でしてっ」
真面目なカールが私用で勝手に入り込むなんて珍しい。
けれどその真面目さはやっぱり発揮されていて、俺が入る前から、というか、待っている間ずっと、立って待っていたらしい。
「ソファーぐらい、座って待ってりゃー…よかったのに」
「だ、団長のお部屋に勝手に入り込んだ上に、座って待つなんて、し、失礼ですから、っ」
どもりながらだが、言うもんだ。
「真面目、だなー。相変わらず」
くつくつと喉の奥で笑って言うと、
「ああ、ありがとうございま、す」
ぱっとはにかんだ笑顔が浮かぶ。
花のような、というか、小さな花のような、という言葉がぴったり合う無邪気な笑顔だ。
褒めるとこういう笑顔で返してくるから、こっちまで笑顔になる。
「…んーで、私用って?」
「あ、ああ、そそそそうでしたっ」
急にあたふたして、恋人は団服のポケットをごそごそし始める。
「あああの、刃さん、…お誕生日、おめでとうございます」
差し出された小さい袋を見て、はにかむ言葉を聞いて、
そういや誕生日だったと思い出す。
「あー、あんがと、カール」
笑って受け取ると、恋人の笑顔はもっと嬉しそうな物になった。
(んでー、…なんで、ぬいぐるみ?)
(ああああのその、カンボジャク、お好きなのかなあ、って)
(…そ)
(ええええと、ごご、ご飯も用意したんですけど、お、お食べ頂けます?)
(ありがと、食べる)
(…おお、お気に召しませんでした、かっ?)
(ううん。気に入った。…カール、可愛い)
(ふえ、ええ、ああ、ありがとうございますっ)
HAPPY BIRTHDAY!
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